2012年9月12日水曜日

音楽のこと Maria Joao Pires

辻原 登 の「闇の奥」を読み始めて、Maria Joao Pires のことが出てきた。

横浜でのリサイタルのあと、インタビューで「演奏しているとき、わたしはある鋭い情緒、鋭い時間感覚につかまっている」と語った。

それは、ノスタルジアに似ているが、違う、と彼女はつづける。ポルトガル語に、saudade (サウダーデ)という美しい言葉がある。この言葉は他国語に訳せない。心象のなかに、風景のなかに、誰か大切な人が、物がない。不在が、淋しさと憧れ、悲しみをかきたてる。と同時に、それが喜びともなる。えもいわれぬ虚の感情・・・・・・。


彼女のモーツアルトを聴いているとき、なにか不思議な、どこか懐かしいと思う。このことだろうか。



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