空海は、留学生として渡海することを許可される。
途中、海上を34日間漂流した。漂着したところは、「福州長渓県赤岸鎮以南ノ海口」。ここでは、役人がどうすることもできず、「福州」へ行くようにといわれ洋上を去った。
福州でも、上陸を許可されなかった。遣唐使である証拠がなく、正使が説明しても理解されなかった。正使は、途方にくれているときに、空海のことを知り、嘆願書の起草を依頼する。
空海の起草した文章を読んで、役人は驚嘆し、上陸許可のうえ、長安に遣唐使のきたことを報告した。ここで、長安の都から勅使がくるまでに、ひと月近くいることになるが、この間空海は地元の文壇でも驚きをもって接遇された。
司馬遼太郎は、空海が歴史的空間に躍り出てくるのは、この瞬間であるという。
確かに、遣唐使の一行にくわわり、漂流、漂着、文章力の鮮やかさ、文壇での交流の華やかさ、どれをとっても、常人ではありえない。
やがて、長安から迎えが来て出立し、12月21日、長安の郊外に着いた。
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